スキルアップや就職の武器になればと、簿記の資格を取る主婦は多いですよね。
その種類は1級から3級まであり、取得するレベルによって採用への影響力や、就職した後の活かし方等が異なります。
ここでは、簿記の資格は主婦に本当に役立つのか?独学も可能なのかについて探っていこうと思います。
簿記の市場(ニーズ)
主に企業の経理や会計部門で、「日商簿記2級」の取得を採用基準とするケースがあるようです。
企業では、まず即戦力が必要とされます。
しかしそれだけでなく、資格の有り無しで評価は大きく異なります。
簿記が選ばれる理由
- 将来的に廃れることのない、安定した需要のある資格だから。
- 3級や2級であれば、独学でもマイペースに勉強しやすいため。
- 未経験で経理や会計部門へ就職する際に、一定の評価があるため。
就職後にわざわざ簿記の資格の取得を薦められることが多いのは、企業でのニーズが高いからであると言えるでしょう。
簿記の資格試験について
一般に、採用の基準とされるレベルは「2級以上」と言われています。
では、実際に子育て中の主婦がどのようにして2級取得を目指すのか、また就職の時には、どのレベルがどれほどの影響力を持っているのか等について見ていきましょう。
試験の主な種類
1. 日商簿記3級
合格率 :約20~40%程度
勉強時間:約1~2ヶ月(100~200時間程度)
→ 商業簿記のみで、独学でも勉強しやすい。
2. 日商簿記2級
合格率 :約30~40%程度
勉強時間:約2~4ヶ月(150~250時間程度)
→ 工業簿記が加わるため、難易度UP。採用の基準にする企業もあるので、就職のためには取っておいたほうが有利。
3. 日商簿記1級
合格率 :約10%前後
勉強時間:約6ヶ月(300~500時間程度)
→ 難易度が高いだけに、就職や実務上での評価に繋がる。スキルアップとして、最終的にこちらの取得を目指す人が多い。
簿記の学習方法
3級であれば、独学でも勉強しやすいでしょう。
2級でも独学は可能ですが、モチベーションの維持が難しければ、通信講座を利用するのもおすすめです。
特に、時間が限られている子育て中の主婦の場合は、あらかじめ出題傾向等、的を絞った講座内容で勉強する方が効率がよいと言えます。
また、さらにレベルの高い1級を目指すのであれば、通信講座に加え、通学講座を検討してみるのもよいでしょう。
目の前に講師や仲間がいることで、疑問点に対する回答がすぐに返ってくること、またモチベーションが高く保たれること、等のメリットがあります。
様々な勉強方法があるので、自分のタイプやライフスタイル等を考慮し、最も効率的に勉強できるものを探しましょう。
勉強に要する費用や時間等は一長一短。
途中で諦めずに、最後まで目標を目指せることが大切ですよ。
簿記の資格取得を評価すると
評価の解説
- 就職のしやすさ:★★☆☆☆(5点満点中2点)
- 企業が求めているのは「即戦力」。そういった意味で、持っているだけで直接採用に結びつくわけではありません。
ただ、2級以上を採用条件にしている企業もあるので、自分をアピールするきっかけとして役立ちます。 - 合格率:★★★★☆(5点満点中4点)
- 上記に示した通り、試験のレベルにより異なります。こちらでは2級を対象にして高評価となっています。
- かかる費用と期間:★★★★☆(5点満点中4点)
- 独学の場合はテキスト代だけなので、最も安く済みます。
一方、通信講座や通学講座の場合は、教材費等で2~3万円かかるケースが多いようです。
これらのうち、どれが良い勉強法なのかは、受ける試験のレベルや自らの生活スタイル等、様々な条件により一概には言えません。
「タイムイズマネー」、子育て主婦ならそう考えて選択するのではないでしょうか。 - 将来性:★★★★☆(5点満点中4点)
- 企業では、経理や会計処理を行う部門が必ず存在します。
そのため、2級以上を持っていれば全国どの企業においても活かすことができ、幅が利くと言えます。
また、コンピュータ化が進んでいるとはいえ、人間の知識や技術なしでは処理は完璧にできません。
つまり、いつの時代にもニーズはあるのです。 - 子育てとの両立:★★★★☆(5点満点中4点)
- 独学や通信講座を選ぶと、自宅でマイペースに勉強ができます。
また、試験までに要する学習時間もそれほど長くないので、子育てしながら目指すことができます。
簿記の資格にまつわる本音
では、実際に子育てをしながら、また働きながら資格取得に挑んだ主婦の本音を聞いてみたいと思います。
-
独学で2級を目指したが、子どもが泣いたり、家事に追われたりと勉強する時間がまともに作れなかった。
毎日少しずつでも勉強する時間を確保することが大切。 -
実務経験の壁にやられた。
もし資格をもって就職したいのであれば、それを採用条件にしていることが第一。
それに簿記を土台にスキルアップを目指している姿勢をアピールする方が、採用には響く。
こうした声からも、簿記の資格を取得するのであれば、就職先のニーズを見極めて、それが活かせる相手のところで勝負をしなければならないようです。
つまり、簿記の資格をもって「あなたの会社に役立てられるように、日々レベルアップを図っていきます」という姿勢を見せるのです。
また、他の資格の実態も参考に比較してみてはいかがでしょうか。
取得さえしていれば就職に結びつくものではないぶん、勉強を始める前から目的意識を高めること、そして取得後に慎重に就職活動を行うことが大切です。
つまり、資格の取得がゴールではないということ。
実際のところ、事務職は空きが少なかったり、年齢や実務経験の壁などのハードルがあるため、復職への足掛かりにはなりづらいようです。
そして、経理の仕事に就こうと考えているなら、注意が必要です。
それは、「決算」や「月初の締め」のような繁忙期に、仕事に穴をあけることはタブーのため、小さな子どもを育てているうちは、書類選考の段階で落とされることがほとんどだからです。
せっかく限られた時間で取得するスキルです。
復職がゴールになるのであれば、活かせなければ意味がありません。
それならば、資格不要で未経験の募集も多く、かつ取得したスキルを十分に活かすことのできる「web業界」を目指してみてはいかがでしょうか?
近年、web業界における需要は急速に高まってきています。
復職に繋げるためのwebのスキル、取得しておくなら子育て中の今がおすすめです。
それに、働き方としては子育て中の主婦に嬉しい在宅や独立といった形もありますよ。
子育て中の主婦へメッセージ
ただ単に、「子育て中でも取得しやすいから」「就職に繋がるから」といった漠然としたイメージで、資格の勉強を始めてはいませんでしょうか?
今回の簿記のような資格は、取得している主婦は多いものの、実際に就職に結びつけているケースが少ないという特徴があります。
企業側の話によれば、ただ資格があるだけでは、実務経験には到底及ばないようです。
簿記の資格は取得して終わりではなく、あくまでスキルアップのための1つの通過点と捉えましょう。
就職後の実務能率のアップや処理範囲の拡大など、自らの発展と会社への貢献に繋げていきたいという姿勢をアピールすれば、なんのために取得したのか伝わりやすいです。
資格の取得という結果だけで判断されるよりも、ずっと就職の成功にも貢献しますよ。
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河野恭子

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